心配性で何度も確認する人には、強い不安やコントロール欲求が背景にあることが多い。
たとえば、家の鍵を何度も確認する、送ったメッセージを繰り返し読み返すといった行動は、自分の不安を下げようとする一種の対処である。
心理学ではこれを「安全確保行動」と呼ぶ。
こうした行動自体は一時的には安心感をもたらすが、長い目で見ると不安を強める原因にもなりうる。
確認行動にはいくつかの心理的要因が関係している。
まず、「一度確認しただけでは不十分かもしれない」と考える人には、物事を完璧にこなさなければならないという思い込みがある。
このような思考は「認知の歪み」とされ、現実的な判断から外れて不安を助長する原因となる。
また、一度確認して不安が和らぐと、脳は「確認すれば安心できる」と学習してしまう。
これが習慣化し、次からも確認せずにはいられなくなる。
これは心理学で「負の強化」と呼ばれる仕組みで、不安を感じるたびに確認してしまうループを生む。
さらに、「自分はミスをしやすい」「信用できない」という感覚が根底にあることも多い。
このような自己不信は、過去の失敗体験や周囲からの指摘によって強化されることがある。
加えて、「もしも失敗したらどうしよう」という最悪の想像が頭をよぎる人は、不安を避けるために確認行動を繰り返す傾向が強い。
実際には起きていない出来事を想像して不安を感じるという思考のクセも、確認癖の原因となっている。
このような傾向は、性格だけでなく脳の働きにも関係があるとする研究もある。
不安に関わる「扁桃体」や、自分を制御する「前頭前皮質」といった脳の領域の働きに違いが見られることがあるという。
確認癖が極端になると、日常生活に支障をきたすこともあるが、その場合には認知行動療法などの心理的アプローチが有効とされている。
この治療では、「あえて確認しない」経験を通して、不安をコントロールできるという自信を少しずつ育てていく。
確認行動は一見小さな習慣のように見えるが、その背景にはさまざまな心理メカニズムが潜んでいる。
不安と向き合うことは簡単ではないが、自分の思考や行動のパターンに気づくだけでも、不安との付き合い方は少しずつ変わっていく。
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