手帳やノートをカラフルにデコる行為には、見た目の楽しさ以上の意味がある。
まず、色やシール、イラストなどを使って情報を整理することは、視覚的な記憶を助ける効果がある。
人は五感の中でも視覚から得る情報量が圧倒的に多く、色の違いによって内容の重要度や種類を自然に識別しやすくなる。
赤やオレンジなどの暖色系は注意を引きやすく、青や緑などの寒色系は落ち着きを与え、集中力を高めると言われている。
色を使い分けて情報に意味を持たせることで、記憶の「引き出し」を増やし、後から内容を思い出しやすくなるのだ。
また、手で文字を書き、飾りを加えるという行為は、脳のさまざまな領域を同時に使う活動である。
デザインを考えることで前頭前野が働き、実際に手を動かすことで運動野が刺激され、目で確認することで視覚野も活性化される。
このように複数の脳の部位を連携させて使うことは、集中力や思考力を高めるトレーニングにもなる。
さらに、デコレーションという創作的な作業には、感情面へのよい影響もある。
自分の好みでレイアウトや配色を決めることは、感情の整理や自己表現の一環でもある。
完成したページを見ることで、達成感や満足感が得られ、脳内にドーパミンと呼ばれる「やる気」や「快感」に関わる物質が分泌される。
これにより、モチベーションが高まり、日々の手帳習慣が楽しく継続しやすくなる。
このような小さな創作活動は、心の安定にも役立つ。
予定や気持ちを手帳に書き出して整理することは、自分の頭の中を「見える化」する行為である。
これにより、不安や混乱がやわらぎ、安心感が生まれる。
デコレーションは、単なる飾りではなく、心を整えるための手段にもなり得るのだ。
また、目標や予定を視覚的に魅力的な形で書くことで、「こうなりたい」という未来のイメージがより具体的になり、実現に向けて行動しやすくなる。
可愛く整えられたページを見返すことは、意識を高めるだけでなく、自己肯定感を高める小さな習慣にもつながる。
このように、手帳やノートをカラフルにデコることは、単なる趣味や気分転換にとどまらず、記憶、思考、感情、行動といった心と脳の働きを支える、多面的で効果的な方法なのである。
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