恋人に振り回されていると感じたとき、多くの人はその状況をどうにかしたいと思いながらも、具体的にどう動けばいいかが分からず、同じパターンを繰り返してしまうことがある。
相手の都合に合わせて予定を変更したり、返信がない時間に不安になって何度もスマホを見返したり、少しの優しさに救われたような気持ちになったりする。
こうした行動の背後には、自分の感情が相手の言動によって大きく揺れている状態がある。

このような状態を変えるためには、まず自分がどのように振り回されているかを冷静に観察することから始めるとよい。
おすすめは、毎日短い時間で構わないので、その日の気分と相手とのやりとり、自分の反応をメモに残すことである。
たとえば「今日のLINEが素っ気なくて落ち込んだ」「急に会いたいと言われて断れなかった」「嬉しいけれど、少し疲れた」といったように、正解を求めずに自分の感情を書いてみる。
これを続けることで、自分の中にある”反応のパターン”に気づけるようになる。

次に、少しずつ自分の意志を言葉にする練習をしてみることが大切である。
振り回されやすい人ほど、相手に嫌われたくないという気持ちが強く、自分の希望を言えないまま我慢することが多い。
けれども、予定が合わないときに「今日は予定があるから、また今度にしてほしい」と伝えるだけでも、自分の気持ちを守ることにつながる。
初めは勇気が必要かもしれないが、何度か経験することで、関係において”自分を優先しても大丈夫”という感覚が少しずつ育っていく。
また、恋愛だけに生活の重心が偏らないようにすることも重要である。
自分一人でも楽しめる時間を意識的に増やすことで、相手の言動に一喜一憂する余白が減っていく。
たとえば、週に一度は趣味に没頭する時間をつくったり、予定をあえて自分で組み立てたりするだけでも効果がある。
友人と過ごす時間や、ひとりで出かける時間も、自分の世界を広げてくれる大切な機会である。
さらに、自分がどんな恋愛関係を望んでいるかをはっきりさせておくと、振り回される状況に流されにくくなる。
紙に書き出すのもおすすめである。
「大切にされていると感じる瞬間はどんなときか」「どのような関わりが心地よいか」「絶対に譲れないことは何か」といった項目について、思いつくままに言葉にしてみる。
自分の理想や価値観が可視化されることで、目の前の関係がその基準に沿っているかを冷静に判断しやすくなる。
加えて、自分の反応を意識的に変えてみることもひとつの手である。
たとえば、連絡が来るのを待っている時間にあえてスマホを手放して散歩をしたり、返信をすぐに返さず、しばらく時間を空けてみたりする。
こうした「反応しない時間」をつくることで、自分の行動がどれほど相手の言動に縛られていたかに気づくことができる。
そして、その小さな距離が、感情に振り回されない心の余裕につながっていく。
もし、不安や焦りが強すぎて冷静になれないときは、信頼できる友人に話を聞いてもらったり、ひとまずその気持ちを書き出したりするのも良い方法である。
また、先に「こうなったらこうする」と行動を決めておくことも有効である。
たとえば「連絡が来ないときは、30分だけ好きな映画を見る」と決めておけば、気持ちが暴走する前に立て直しやすくなる。
恋愛は相手に合わせるばかりで成り立つものではない。
自分の感情や時間を尊重しながら関係を築いていくことが、長く穏やかな関係を続けるうえで欠かせない。
そして、自分のペースを守る力は、どんな人間関係においても、自分自身を守る大切な土台となる。
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