【雑学】アイスランドに森林が少ない理由

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アイスランドには森林がほとんどない。
現在、国土のわずか1.5〜2%しか森林が存在せず、一見すると不毛の大地のように見える。
この理由には、自然環境と人間の影響が複雑に絡み合っている。

アイスランドの地形は、氷河や火山活動によって大きく影響を受けてきた。
過去の氷河期には国土の大部分が氷に覆われ、植物が生育できる環境ではなかった。
氷が溶けた後も、火山の噴火による火山灰が土地を覆い、土壌の養分が奪われることで木々が育ちにくくなった。
こうした自然条件が、もともと森林が発達しにくい環境を作り出していた。

しかし、かつてのアイスランドにはそれなりの森林が広がっていた。
特に、現在よりも温暖だった9世紀頃には、国土の約25〜40%がカバノキなどの低木林に覆われていたとされる。
この状況を一変させたのが、ヴァイキングの入植である。
ノルウェーから移住してきたヴァイキングたちは、木を伐採して家や船を作り、薪として利用した。
さらに、羊を放牧したことで、森林の回復はほぼ不可能になった。
羊は芽吹いたばかりの木の若葉や苗木を食べ尽くし、新しい木が育つ余地を奪った。
こうして森林は急速に減少し、その後、自然に回復することはなかった。

森林が失われた結果、アイスランドの土地はより脆弱になった。
木が生い茂ることで保たれていた土壌は、強風にさらされるようになり、やがて侵食が進んで砂漠化が始まった。
さらに、アイスランドの気候は寒冷で、特に冬は厳しい。
加えて、風が強いため、木が育つには不向きな環境となっている。
土壌も薄く、水はけが良すぎるため、十分な養分を保持できない。
こうした条件が重なり、森林が自然に復活することは極めて難しくなった。

近年、アイスランドでは森林を再生させるための取り組みが進められている。
20世紀から政府が植林を推進し、シラカバや針葉樹の植栽が行われている。
企業や個人の協力も増え、国全体で森林再生を目指す動きが広がっている。
こうした努力により、わずかではあるが森林面積は増加しつつある。
しかし、ヴァイキングが入植する前のような広大な森を取り戻すには、まだ長い時間が必要である。

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